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お役立ち情報 vol.35.1


口腔ケアや健康についての情報を提供してまいります。

お役立ち情報

フッ素(フッ化物)とは

フッ素は、自然界に広く分布している自然元素の1つです。
水に溶けたときに、マイナスイオンになる無機の物質を「~化物」といい、フッ素についても「フッ化物」と呼ばれています。
フッ化物は食品中にも含まれており、毎日の食事を通して私たちの体に摂取されています。
わたしたちの体の中には、カルシウムと同じくらい歯や骨の構成成分として含まれていると言われています。

主な食品中のフッ化物量
 野菜類:0.1~1.0 ppm
 りんご:0.2~0.8 ppm
 緑茶:0.1~0.7 ppm
 みそ:3~10 ppm
 貝類:1.5~1.7 ppm
 海草:2.3~14.3 ppm
 いわし:8~19.2 ppm

出典:全国歯科衛生士教育協議会監修 歯科予防処置論・歯科保健指導論
※水1ℓに1mgのフッ化物が含まれている場合、濃度1ppmとなります。

1.フッ化物の効果
1)歯質を強化します
フッ化物が歯に取り込まれることで、酸に溶けにくい(耐酸性)強い歯になります。
2)再石灰化を促進します
酸によって歯から溶けだしたカルシウムやリンが、再び歯に戻ろうとする作用(再石灰化)を促進し、初期う蝕(むし歯)を修復します。
3)う蝕(むし歯)の原因菌の活動を抑制します
フッ化物の抗菌作用により、う蝕(むし歯)菌の活動を抑制し、酸の産生を抑えます。
2.ライフステージごとのう蝕(むし歯)リスク

一生の間には、う蝕(むし歯)になりやすい時期があります。

時期/理由
▼乳歯列期(乳歯が生える乳幼児のころ)
乳歯は永久歯に比べ、エナメル質がうすく、う蝕(むし歯)になりやすいです。
また、う蝕(むし歯)になると進行が早いと言われています。


▼混合歯列期(永久歯に生えかわる小学生のころ)
生えたばかりの永久歯はエナメル質が弱く、酸に溶かされやすいため、う蝕(むし歯)になりやすいです。

▼中高年以降(歯肉が下がってしまってから)
加齢や歯周病により歯肉が下がると、根面(こんめん)が露出し、それまでう蝕(むし歯)にならなかった人でも根面う蝕(むし歯) にはなりやすいと言われています。
また、根面う蝕(むし歯)は歯髄(神経)までの距離が近く、早い段階で痛みを感じ、治療の際に神経を取らなければならなくなる場合もあります。
根面こんめんう蝕(むし歯)根面こんめんとは、歯の根の部分(歯根)のことです。
歯の頭の部分(歯冠)と違い、硬いエナメル質で覆われておらず、軟らかい象牙質でできているため、酸に弱くう蝕(むし歯)になりやすいです。
う蝕の(むし歯)の発生と進行については、デントレ通信vol.3.1をご覧下さい。
3.ライフステージごとのフッ化物応用

このように、ライフステージによってう蝕(むし歯)になりやすい時期があり、中高年以降ではう蝕(むし歯)になりやすい部位も違ってきます。
ここでは、ライフステージごとに使用するとよいフッ化物応用法をご紹介します。

まず、歯が生え始める6ヵ月から2才ごろまでは、ブクブクうがいができないため、保護者の仕上げ磨き時にフッ化物配合歯磨剤を少量使用します。
ブクブクうがいができるようになったら、歯磨剤と合わせて、フッ化物洗口も行うとよいでしょう。
フッ化物洗口は、乳歯列期~混合歯列期、さらに永久歯の生えそろう中学生まで継続すると、その後もう蝕(むし歯)になりにくいと言われています。

時期/理由
								生えたばかりの歯はフッ化物に対する反応が高く、フッ化物を多く取り込みます。<br />
								そのため、この時期にフッ化物を使用することは、う蝕(むし歯)予防に大変効果的です。<br />
								歯科医院でのフッ化物塗布も定期的に受けましょう。

永久歯列期は、乳歯列期~混合歯列期に比べ、エナメル質が丈夫になっているため、う蝕(むし歯)そのものになるリスクは減りますが、すでに治療した歯の詰め物の周りから、二次う蝕(むし歯)になることがあります。
二次う蝕(むし歯)の予防と、う蝕(むし歯)菌の活動を抑制するためにも、引き続きフッ化物配合歯磨剤を使用することをお勧めします。

中高年以降では、根面う蝕(むし歯)予防のため、フッ化物配合歯磨剤の使用に加え、フッ化物洗口と歯科医院でのフッ化物塗布も重要になってきます。

※二次う蝕(むし歯)過去にう蝕(むし歯)になり、治療した修復物(詰め物)と歯の隙間から発生するう蝕(むし歯)のこと。

◎ まとめ
フッ化物は、う蝕(むし歯)予防には生涯にわたりとても有効です。
早い時期から使い始め、また毎日使い続けることでさらに効果が高まります。
セルフケアとして、おうちで手軽に使用することのできるフッ化物配合歯磨剤や洗口剤を積極的に使用し、歯科医院で行うプロケアのフッ化物塗布と合わせて、う蝕(むし歯)予防にぜひお役立て下さいね。

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